蒲田で読書してます

完全読書ブログ宣言!

蒲田で読書してます(6)デニス・ルヘイン『過ぎ去りし世界』はしっとりとしたハードボイルドだった!

前口上

どうも、鉢碌です🏎

コロナ禍中、どこにも行けないため、気合入れて読書をはじめてみたもんの、ちょっと空回り気味で疲れます笑 非日常だからって、そんなに読むスピード変わりませんよね笑 自分のペースで楽しみましょう。

 

これは典型的なアメリカン・ハードボイルドである!

さて、今回はデニス・ルヘイン『過ぎ去りし世界』を読みました。ジャンルとしては、ハードボイルド、もしくはノワール。平たく言うとクライムノベルになるでしょうか? ようはアウトローの物語です。舞台は第2次大戦下のアメリカはフロリダ州タンパ。アイルランド系のジョー・コグリンは、運輸業を営むビジネスパーソン。一時持て囃された「ちょいわるおやじ」よろしくモテる印象。家族は10才になるトマスひとり。キューバ人の妻はトマスが幼いころに亡くなっている。港湾でのビジネスで幅を利かせているジョーだが、あるとき自分の生命が的になっていることを知る。そう、ジョーはかつてボストンで名を成し、臭い飯を食ったタフなアウトローだったのだ。やがて、タンパで保たれていたイタリア系と黒人系のマフィアの勢力の均衡はミシミシと崩れ、血で血を洗う抗争に発展していく…。まさにアメリカン・ハードボイルドの典型、クエンティン・タランティーノ監督『レザボア・ドッグス』の世界である。

 

ゆったりと流れる時間、気の利いたセリフ、静かな裏切り

とにかく、大人の乾いたジョークやエスプリがこれでもかというばかりに繰り出される。それが、第2次大戦下の物憂い空気と合わさって、独特の硬質さを醸成している。そして、アメリカはサラダボール、イタリア系マフィアは祖国のパンケーキを好み、黒人系は守りを固め、アイルランド系は貧しさを回顧する。この複雑さは、たぶん鉢碌🏎には心底分からないかもしれない。戻るべき処のない、混じり合わないひとびとが、ためつすがめつ必死に生き抜こうとする。ラストのやるせなさがハンパない。本書は『運命の日』『夜に生きる』と引き継いだ3部作のトリらしいが、単体でも楽しめる。戦争の最中に蠢動する悪い奴等の騙し合いを堪能できる。

過ぎ去りし世界 (ハヤカワ・ミステリ文庫)