蒲田で読書してます(10)月村了衛『欺す衆生』はこの時代の『罪と罰』だった!
詐欺の話である。ここで描かれる詐欺は、「ないもの」を売る。存在するが、あるいは存在すると言われているが、その実「ないもの」。たとえば、アマゾン奥地のエルドラドを探索するため資金が必要だ、確実に見つけられると専門家も言っている、見つかった場合、30%の利息を載せて資金をお返しする。バカ言うなよ、と思う。でも、欺されるひとはいる。努力もせず(親の七光とか)使い切れないほどカネを持ってしまった、欲の皮の突っ張った人間。
本作は「豊田商事事件」からはじまり、「ライブドア事件」を経由しても絶えることのない、この手の詐欺に手を染めるひとたちを乾いた表現で描写していく。みんな、どこか絶望している。どうせこんなもんでしょ、という諦念が彼らを詐欺に走らせる。どこかドフトエフスキー『罪と罰』を思わせる。悪いのは世の中なのだろうか?
ちょうど本作を読み終えたころ、2020年9月18日に「ジャパンライフ事件」の報道があった。欺す衆生は、普通の顔をして、普段の生活を送りながら、強欲をひとたちからカネを巻き上げている、ということか。
はたして音楽は深層心理を代弁しているか
ボーっしたいとき、静かなのはイヤなので、だいたい音楽を流してる。
面白いもので、その年によって、ヘビーローテションがあるらしい。そのアルバムばかり聴く、あるいは特定のアルバムのその曲だけをリピートする。環境的に追い詰められると、とくに笑 聴きたい曲で、深層心理の分析なんてできるのかしらん笑
2011〜12年は、社会人博士コースを修了するため、金曜日の深夜から日曜日の午前中、ずっと吹田のラボにこもって実験してた。基本ヘロヘロ、仕事は疲れてどもならん、そのとき、A Day to Remember の『What Separate Me from You』に収録されてる「All I Want」という曲を繰り返し聴いてた。いまでもたまに聴きたくなる。それと、LeAnn Rimes の『Twisted Angel』に収録されてる「The Safest Place」、とにかく歌が上手い、聴いてて泣けるほど上手い。博士号を無事取得できた要因はこの2曲のおかげもあると思う。
そして、部屋に逼塞するコロナ禍中、とにかく Stone Temple Pilots を聴いてる。『Core』と『Purple』を飽きずに聴いてる。気だるい、ふわっとした、ゆるい感じが良い。たまに Alice in Chains の『Jar of Files』と『Alice in Chains』も聴いてる。意外とグランジが好きなのかもしれない。密かにグランジの再ブームが起きるのでは、と思ったりする。これはグランジ専門のロックバーでも開こうか笑
CORE (SUPER DELUXE EDITION) [4CD+DVD+LP] (25TH ANNIVERSARY)
- アーティスト:STONE TEMPLE PILOTS
- 発売日: 2017/09/29
- メディア: CD
コロナ禍中のおっさん(28)
20年9月1日。
コロナウイルスの感染は一向に縮小しない。
試しに、ここ1週間の東京都内のPCR検査による感染者数(括弧内)の推移を見よう。
8/25(182)、8/26(236)、8/27(250)、8/28(226)、8/29(247)、8/30(148)、8/31(100)
ご覧のようにトリプルスコア。ワクチンや薬剤が開発されないなら、ひとの集まる活動はこのまま制限されるだろう。
一方、コロナ禍中により、日本的な働き方はパラダイムシフトを迎えている。とくに日本型企業はジョブ型の組織にようやく舵を切る言質を得たように思われる。おそらく、在宅勤務に強制移行されたことにより、これまであいまいにされていた、出社して座っていただけの終身雇用的「フリーライダー」が、明確に「使えない」と評価されたためだろう。トヨタ自動車が定期昇給を完全成果型に変更する(20年8月27日付、時事通信)というニュースは日本型企業のサラリーマンに恐怖を与えているのではないだろうか。仕事できなきゃ昇給もなく、場合によっては降格や馘首の理由になる。これからは成長の見込めないベテランはいつ肩を叩かれてもおかしくない時代になるのだ。
となると、日本型企業で人間関係の安全弁となっていた「組合」はどうなるだろうか。完全成果型になると、雇用は企業と個人との一対一の契約の形態に移行するように思われる。つまり、団体交渉という形式が成り立たなくなってくる。そうすると「組合」は発展的解消に至らざるを得なくなるのではないだろうか。10年後、終身雇用制度と組合制度はなくなり、日本型企業は姿を消すのだろう。
新陳代謝
気晴らしに植物を育ててる。百均で売ってるような、サボテンやら観葉植物、小さい鉢だ。3年ほどまえ、2017年ごろだったと思うが、気まぐれで「ななこまる」というサボテンを買った。爾来、買い物の道すがら、気になった鉢を3個ずつ買い足して、10鉢ほど育てている。
サボテンは面白い。
水やりは、ネット上のブログでいろいろ書かれているが、鉢から水分が完全に干上がったら、溢れんばかりに注ぐ、を繰り返す。干上がったかどうかの判断は、鉢を持ち上げればよい。表面の土が乾き、軽くなったなと感じたらやればよい。その基準で行くと、春秋は1週間に1回、夏場は1日か2日に1回、冬場は1カ月に1回、という感じ。少し気は気にかけるが、忘れなければ枯らさない、というお手軽さ、である。肥料をやる必要もない。ただし、葉や根が徒長したら、春秋のいずれかに剪定や根切りをしたうえで、植え替えしたほうがいい。
サボテンは花を咲かせる。「ななこまる」を例に取ると、幼生から育てはじめて越冬したあとの1年目は1輪しか花をつけなかったが、2年目は1鉢でお花畑か!というほど咲いた。
サボテンによるが、育てている「れいだまる」は、越冬すると、枯れたのか?というほど茶色に変った。が、焦ることなかれ。春先からしっかり水をやると、気温上昇とともに緑色が差してくる。真夏になると青々とした多肉になるから不思議。生命力ってスゴイ。ちゃんとすれば育つのだ。
もうひとつ、面白いのが、これは「アデニューム」という観葉植物の例だが、ダメになった葉は、自ずから枯れて、茎や幹から落ちるのだ。それが、昨今のリストラ等を身近に見ていて感慨深かった。腐ったら淘汰されるという法則が、生命システムに組み込まれている気がした。もちろん本人の努力や時世はあるだろう。しかし、大きな目で見ると、恒常的に同じ状態で遇されるなど、ありえないのだ。なので、典型的官僚主義日本企業でも、座ってるだけで給料せしめようとする「フリーライダー」たちは老若男女問わず淘汰されてく時代が遂に来たんだろう。
ヒューマニズム等、観念的な価値観は導入されるだろうが、弱肉強食、サラリーに絞っていえば格差は確実に広がるだろう。もちろんサラリーの多寡は幸福と比例しないだろうが、ある程度貰わないと生活できないのも事実。流れをどう見るか、枯れて落ちる葉っぱになりたくなけりゃ、どうにかして栄養を蓄え、新しく芽吹くしかないんだろう。
変化を受け入れよう。
梅雨が明け 風に吹かれて なんもしない
コロナ禍中のおっさん(27)
20年7月30日。
コロナウイルス感染は広がりを見せている。東京都内にかぎると、ここ1週間のPCR検査による日別感染者数(括弧内)は、7/23(366)、7/24(260)、7/25(295)、7/26(239)、7/27(131)、7/28(266)、7/29(250)と100〜400の幅で推移しており、累計では1807人。感染は都内だけでなく、全国津々浦々で猛威を奮っており、大阪府や愛知県でも日別感染者数が100〜200人出ている。これまで確認されていなかった岩手県でも感染者が出た。薬剤やワクチン等、医学的な手法が確立されないかぎり、このウイルスの感染を抑えるのは無理な状況である。
日本国では、コロナウイルスに加え、熊本県、大分県、福岡県、岐阜県、山形県で豪雨による河川氾濫が相次いでいる。ニュースで映像を見ていると、被害は甚大、本当に辛い。例年7/20前後に明ける梅雨は関東以東に留まっている。天候不順が不気味な雰囲気に拍車を掛けている。
政府は、観光振興等、様々な対策を打っているが、後手に映る。とくに経済は先行き不透明。来年どうなっているのか、だれにも想像つかないのではないか。
企業の業績は厳しい。キヤノン等、赤字を計上しており、通期の着地は末恐ろしい。来年の家計にも影響が大きそう。
来月は盆休み、どこにも行かず、人生をゆっくり棚卸するにかぎる。混迷の時代に備えて。